緑内障手術について
緑内障の治療は、まず点眼薬で眼圧を下げることから始まります。
眼圧の正常値は8~21mmHgと幅があり、しかも日本人の緑内障患者さんの約70%は眼圧が正常であったと報告されており、点眼治療の目標は眼圧を正常値にすることではなく、点眼開始前の眼圧から20~30%下げることが目標となります(年齢や視野の進行程度等で多少異なります)。
(例)点眼開始前の眼圧が20mmHgだった場合の目標眼圧は14~16mmHgとなります。
定期的に眼圧測定と視野検査を行い、その結果によっては点眼薬を変更したり、追加したりすることもあります。
それでも眼圧が下がらない、或いは眼圧がある程度下がっているにも関わらず視野変化が進行する場合はレーザー治療や手術治療を行います。レーザー治療に関しては、点眼薬に対するアレルギーや副作用で複数の点眼薬が使用できない場合や、複数の点眼薬を使用するのが煩わしい、或いはつい忘れてしまう場合にも用います。
選択的レーザー線維柱帯形成術 (slective laser trabeculoplasty:SLT)
眼の中には房水と呼ばれる液体が循環しており、これが線維柱帯と呼ばれる、言わば排水口の様な所から静脈に吸収されていきます。この排水口がつまると房水の流出抵抗が上がり、眼圧も上がりやすくなります。そこで、この「つまり」の原因となっている色素細胞と呼ばれる細胞を選択的にレーザーで破壊して、房水の流出抵抗を減らすことで眼圧を下げます。
色素細胞のみを破壊し、その他の正常組織には影響を与えませんので、非侵襲的で繰り返し施行することができます。
レーザーによる治療ですので、眼の表面に傷も作らず、外来での治療が可能で、日常生活への制限も特にありません。